【W societyプレスリリース】女性を取り巻く心身的/社会的課題に関する実態調査レポートを公開

2022.02.25 PRESS RELEASE

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W society実行委員会は、女性を取り巻く「心身的課題」と「社会的課題」の現状を明らかにするため、女性自身の体調への向き合い方や産婦人科/婦人科への受診意向などをテーマに、18歳から44歳までの女性1,500名を対象に調査を実施しました。

調査の結果、何らかの不調を抱える女性は8割に上ったほか、妊娠をのぞむ女性の7割は何らかの不安を抱えているなど、女性を取り巻く“不調と不安”の実態が浮き彫りに。一方で、「4人に1人は相談相手がいない」という、“体調の悩みを相談する場の不足”という社会的課題も明らかになりました。W societyでは本調査結果を受け、自分自身の現状を「知る」ことを課題解決へのスタートと位置づけ、“すべての女性が、納得して充実したライフスタイルを築ける社会”を目指して活動を進めています。

【結果サマリー】

テーマ①【自身の体調と相談相手について】

不調を感じている女性は全体の約8割。一方で、4人に1人は「相談相手がいない」ことが明らかに。

☑8割以上の女性が、何かしらの不調を感じている現状が明らかに。体調の把握方法としては「月経周期や体調を記録している(34.0%)」、「病院の定期健診・健康診断(26.6%)」が上位に並ぶものの、「なんとなく(29.4%)」と答えた層も多い結果に。特に【妊娠経験なし/20-24 歳】の層では40%が「なんとなく」と回答し、若年層が自身の体調に向き合うことが少ない実態が明らかに。

☑体調の相談相手は、「夫・パートナー(29.9%)」、「親(29.6%)」が多い一方で、「医師など専門家(8.1%)」と専門機関への相談比率は低い結果に。また、「相談相手はいない(25.6%)」と答えた層が全体の4分の1を占めた。「女性の体調の悩み」を共有できる場が二局化(つまり、近親者か、いないか)していることが伺える。

テーマ②【産婦人科/婦人科への受診意向について】

産婦人科/婦人科へ通院している女性は全体の9.5%。通院していない理由の大半は「お金がかかる」

「なんとなく」「面倒」「内診が嫌」で、“心とお金のハードル”が大きな障壁に

☑定期的に病院(産婦人科/婦人科、歯科、内科、眼科など)に通院している女性は全体の24.9%。産婦人科/婦人科へ通院している女性は全体の9.5%(142人/1,500人)程度で、目的は「ピル処方」がトップに。

☑産婦人科/婦人科へ通院していない女性(1,358人)のうち、その理由は「それほど体調の不具合/問題とは思っていない」が31%で最多。以下は「お金がかかる(25.0%)」「なんとなく(17.6%)」「面倒(16.6%)」「内診が嫌(11.9%)」と続き、「お金と心のハードル」が大きな障壁となっていることが明らかになった。

テーマ③【妊娠について】

「自身が妊娠できると思う年齢」の平均値は、37.43歳で、高齢出産と言われる35歳を上回る結果に。

妊娠を望む女性の77%は、妊娠に対して何らかの不安を抱えている現実も

☑妊娠を望むのぞむ女性(「機会があれば妊娠したい」「絶対に妊娠したい」と答えた層)は、全体の38.4%。「自身が妊娠できると思う年齢」の平均値は、37.43歳で、高齢出産と言われる35歳を上回る結果に。※「日本産科婦人科学会」では、35歳以上の初産を高齢出産と定義 

☑妊娠を望む女性の中でも、「漠然とした不安がある」「具体的な不安がある」と答えた女性は77%。

☑一方で、「絶対に妊娠したい」と思わない女性に着目してその理由を分析すると、「子供を育てていく金銭面が不安だから」が41.7%で最も高い結果に。妊娠経験がない女性に限ると、「現在パートナーがいないから(44.1%)」、「子供を育てていく金銭面が不安だから(38.0%)」、「子どもが欲しくない(25.7%)」「自分には仕事と育児の両立が難しそうだから(24.3%)」といった理由が上位に。外部的な理由に着目すると、「金銭面や両立への不安」が妊娠を希望しない理由の大半を占め、女性と取り巻く社会的課題が浮き彫りとなった。

テーマ④【卵子やAMH検査に対する認知について】

AMH検査(卵巣予備能検査)の認知度は全体の30.8%で、受診経験率は5.1%。

☑「AMH 検査(卵巣予備能検査)」の認知度は全体の30.8%。実際に受診経験があるのは全体の5.1%。

☑プライベートと仕事の両立に悩んだことのある女性は全体の53.4%。そのうち、「健康的な生活と仕事の両立(食生活・睡眠時間の確保など)」に悩んだ女性は58.4%と高い結果に。「ロールモデル(自分の行動や考え方など、キャリア形成の上でお手本になる人物)としている人がいる」と答えた女性は全体の28.2%に留まる結果に。


【医師の視点から】

テーマ①【自身の体調と相談相手について】

日々の臨床現場でも「漠然と不調を感じている女性が多くいらっしゃいますが、実際にクリニックに来る人は少ない」という実感があります。男女問わず、仕事の都合や、体調に心配があるがゆえにクリニックや病院を受診するのはなかなか難しくなります。それに加えて、産婦人科受診には特有の心理的ハードルもありますから、多少の不調を感じていても、インターネットの情報や周りの体験談だけで受診前に自己判断してしまう人は多くいらっしゃると思います。相談相手やインターネットから情報を得ることはとても大切なことです。そのうえで改善が見られない場合は、私たち専門家に気軽に受診できる環境になるようにこれからも我々は努力していきます。

テーマ②【産婦人科/ 婦人科への受診意向について】

働いている女性の中には、キャリアを優先して結婚・出産のタイミングに悩んでいるという方や、「子育て=お金がかかる」というイメージから、出産育児へ高いハードルを感じている方もおられます。また、テレビをつければ芸能人などでも40代での出産のニュースも多くあり、それを見た一般の方々の「出産できる年齢のイメージ」が無意識のうちに高齢化してきていると思います。実際、CDC ART Report2017によれば、体外受精を開始した年齢も日本では平均40歳となっていて、アメリカの34歳と比べても開始年齢が6歳も高いという結果になっています。

一方で、臨床の現場から見ていると「自分が何歳まで妊娠できるのか」という疑問や、若い方でも「自分は妊娠できる身体なのかどうか」という不安を持っている方も増えているように感じます。産婦人科では、こうした疑問や不安を少しでも解決するために、AMH検査・超音波検査・ホルモン検査などの検査を行う事が出来ます。

あなたの人生やキャリアを考える上で、あなたの身体についての知るための大切なきっかけになると思います。

テーマ③【妊娠について】

アンケートを見ると「心とお金のハードル」が産婦人科への大きな障壁になっています。もしあなたに症状があって困っていても、産婦人科を受診するとどんな検査や診察があるかわからないため、受診が怖かったり面倒だなぁと思うのではないでしょうか。そして、私たち医療者も初めて会う患者さんが何に困ってどうされたいのか、伝えてもらうまでわかりません。

あなたが困っていることや不安に思うことにおいてもまずは一緒にお話を伺い、考えます。そのうえで私たちから、「こういう症状に対してはこういう診察を行う、このくらいの痛みがあるかも」という内容や、通う頻度、その費用についてもお話しします。相談をして受けたい検査や受けたくない治療を見つけていくことが今よりもスムーズになれば、この「心とお金のハードル」もより飛び越えやすくなると思います。

テーマ④【卵子やAMH検査に対する認知について】

すべての産婦人科医は「女性の健康をサポートしたい」という熱い思いから日々の診療を行っています。初潮から始まり妊娠、出産、更年期など、女性の身体は男性に比べてダイナミックに変化していきます。今回のアンケートからも読み取れるように、あなたがほかの科に比べて「産婦人科」を訪れるのはちょっとだけ勇気が必要です。「こんなこと聞いて笑われてしまうのかな」や「検査して妊娠できないってなっちゃったらどうしよう」などという不安が、よりあなたと私たちの距離をより離すのかもしれません。私の好きな言葉に「ものを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に

怖がることはなかなか難しい」という物理学者の寺田寅彦の言葉があります。この正当に怖がるというのは、自分ひとりだけで調べたり悩んでいても、なかなか正当に判断が出来ないと外来を通していつも感じます。小さな不安や悩みでも構いませんので、是非一度私たち産婦人科に相談に来てください。

W societyメディカルパートナー
賀来 哲明
(フェニックスメディカルクリニック 産婦人科医長)


【調査概要】

調査元:W society実行委員会

調査手法:インターネット調査

調査対象者:日本在住の18 歳~44歳の女性計 1,500人

※妊娠経験あり/なし、年代(18歳~19歳、以降5歳刻みの合計12 区分)で均等割付後、日本の8エリア(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄)ごとの人口構成比に合わせてウェイトバック集計を実施

調査時期:2021年10月

【備考】

・本リリースに記載されているデータをご活用いただく場合は、以下クレジットをご記載ください。

「女性を取り巻く心身的/社会的課題に関する実態調査」(W society実行委員会 調べ)

・構成比は小数点以下第 2 位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも 100 とはなりません。

■女性活躍デザインプロジェクト「W society」とは

「W society(ダブリュー ソサイエティ)」とは、2021年9月に始動した、女性の「心身的課題(W=woman)」と「社会的課題(society)」の両面から女性活躍をデザインする社会参画型プロジェクトです。アンバサダーには、柔道家の阿部詩さん、モデルの島袋聖南さん、モデルの長谷川ミラさん(五十音順)が就任。2021年10月には、女性のホルモン検査の一種である「AMH検査※」に対するリテラシー向上を図りながら、自分自身のカラダを知るきっかけを生み出す啓発キャンペーン「egg week」を実施しました。

自分自身の現状を「知る」ことを課題解決へのスタートと位置づけ、“すべての女性が、納得して充実したライフスタイルを築ける社会”を目指して活動を進めています。

※抗ミュラー管ホルモン検査:卵巣の予備能(卵巣の中に残っている卵胞の数の目安)を反映する血液検査。自身のカラダの現状を知ることで、ライフプランの設計に役立てられることが期待されています。

プロジェクト名:W society(カタカナ表記:ダブリュー ソサイエティ)
公式ホームページ: https://wsociety.jp/(W society)https://eggweek.com/(egg week)

テーマ①【自身の体調と相談相手について】

【結果サマリー】 8割以上の女性が、何かしらの不調を感じている。 体調の把握方法としては「月経周期や体調を記録している(34.0%)」、「なんとなく(29.4%)」、「病院の定期健診・健康診断(26.6%)」が上位に。 体調の相談相手は、「夫・パートナー(29.9%)」、「親(29.6%)」が多い一方で、「相談相手はいない(25.6%)」と答えた層が全体の4分の1を占める。

Q2.あなたの普段の体調はいかがですか?(単一回答、n=1,500)

Q3.あなたが感じている症状・不調はありますか。あてはまるものをすべてお選びください。(複数回答可、n=1,500)

Q4.あなたは、ご自身の体や健康状態を自分自身が良くわかっていると思いますか。(単一回答、n=1,500)

Q5.ご自身の健康状態をどのように把握していますか。(複数回答可、n=1,500)

Q6-2.体調の相談相手で最もあてはまる相手は誰ですか。(単一回答、n=1,500)

テーマ②【産婦人科/婦人科への受診意向について】

【結果サマリー】 定期的に通院している女性は全体の24.9%(374人/1,500人)。産婦人科/婦人科へ通院している女性は全体の9.5%(142人/1,500人)程度で、目的は「ピル処方」がトップに。 産婦人科/婦人科へ通院していない女性(1,358人)のうち、その理由は「それほど体調の不具合/問題とは思っていない」が31%で最多。以下は「お金がかかる(25.0%)」「なんとなく(17.6%)」「面倒(16.6%)」「内診が嫌(11.9%)」と続き、「心とお金のハードル」が大きな障壁であることが明らかに。 年代で見ると、「お金がかかる」を理由に挙げたのは30-34 歳の女性層が最多で、「内診が嫌」を理由に挙げたのは40-44歳の女性層が最多。

Q7.あなたは定期的に通院していますか。※風邪など突発的な病状を除いて、ある程度定期的に通院しているかお答えください。(単一回答、n=1,500)

Q10.定期的に通院しているのはどのような診療科ですか。(複数回答可、n=1500)

Q11-1.産婦人科/婦人科に通院している方に伺います。最もあてはまる通院目的は何ですか。(単一回答、n=142)

Q12.前問で「産婦人科/婦人科へ通院していない」とお答えした方に伺います。産婦人科/婦人科へ定期的に通院していないのはなぜですか。(複数回答可、n=1,358)

テーマ③【妊娠について】

【結果サマリー】妊娠をのぞむ女性(「機会があれば妊娠したい」「絶対に妊娠したい」と答えた層)は、全体の38.4%。「自身が妊娠できると思う年齢」の平均値は、37.43歳で、高齢出産と言われる35歳を上回る結果に。※「日本産科婦人科学会」では、35歳以上の初産を高齢出産と定義妊娠をのぞむ女性のうち77%は、妊娠に対して何らかの不安があると回答した。一方で、「絶対に妊娠したい」と思わない女性に着目してその理由を分析すると、「子供を育てていく金銭面が不安だから」が41.7%で最も高い結果に。妊娠経験がない女性に限ると、「現在パートナーがいないから(44.1%)」、「子供を育てていく金銭面が不安だから(38.0%)」、「子どもが欲しくない(25.7%)」「自分には仕事と育児の両立が難しそうだから(24.3%)」といった理由が上位に。外部的な理由に着目すると、「金銭面や両立への不安」が妊娠を希望しない理由の大半を占め、女性と取り巻く社会的課題が浮き彫りとなった。

Q15.あなたご自身は今後将来的に妊娠したいと思いますか。(単一回答、n=1,500)

Q16.あなたご自身は何歳まで妊娠できると思いますか。(数値入力、n=1,453)

Q17.「絶対に妊娠したい」と答えなかった方に伺います。「絶対に妊娠したい」と思わないのはなぜですか。(複数回答可、n=1,293)

Q18.「機会があれば妊娠したい」「絶対に妊娠したい」とお答えになった方へ伺います。実際にあなたの体調を考えた時に、妊娠に不安はありますか。(単一回答、n=576)

Q20.現在有職で、「機会があれば妊娠したい」「絶対に妊娠したい」とお答えになった方へ伺います。仮に妊娠したとした場合、現在の職場に復帰したいですか。(単一回答、n=370)

テーマ④【卵子やAMH検査に対する認知について】

【結果サマリー】 「AMH 検査(卵巣予備能検査)」の認知度は全体の30.8%。一方で、実際に受診経験があるのは全体の5.1%。 プライベートと仕事の両立に悩んだことのある女性は全体の53.4%。そのうち、「健康的な生活と仕事の両立(食生活・睡眠時間の確保など)」に悩んだ女性は58.4%と高い結果に。 「ロールモデル(自分の行動や考え方など、キャリア形成の上でお手本になる人物)としている人がいる」と答えた女性は全体の28.2%に留まる結果に。内訳は、「家族(14.7%)」、「友人・知人(12.1%)」「有名人・芸能人・著名人(8.1%)」、「職場(5.8%)」と続いた。

Q24.前問で「AMH 検査(卵巣予備能検査)」を知っていると回答された方に伺います。あなたはこれまでのAMH 検査を受けたことがありますか。(単一回答、n=462)

参考資料:カラダや卵子にまつわるコト 

●加齢とともに減少する卵子の数。閉経時にはゼロに近づいていきます。

「妊娠・出産」というライフイベントを考える際に重要なのが “卵子” の話です。胎児期に原始卵胞という形で卵巣内に卵子が作られるとその数は増えることはなく、加齢と共に減少していきます。出生時に約200万個あった卵子は、35歳時点で約1~3万個に。閉経時の卵子数はゼロに近づいていくことが分かっています。

[出典:神奈川県 健康医療局「丘の上のお医者さん」ウェブサイトのデータを元に作成]

●知らず知らずのうちに狭まるライフプラン選択肢の幅

ライフイベントのひとつ「妊娠・出産」にフォーカスしてみると、不妊治療件数は年々増加。日本は、体外受精件数が年間約45万件を超える、世界一の不妊治療大国でもあります。ですが、晩婚化などの要因から、不妊治療を開始する年齢自体も高齢化。治療技術は世界一とも言われる一方で、“ライフプランの選択の幅” が知らず知らずのうちに狭まっているのが現実です。

[出典:日本産婦人科学会2010を基に厚生労働省で作成されたデータを元に作成]

●世界一の不妊治療大国でも“初めの一歩” が遅い現実

体外受精の件数と生まれる子どもの割合は、 米国がおよそ4回に1人に対し、日本は8〜9回に1人 の計算に。米国が高い数値を出しているのは、「体外受精を行う年齢が低い」ことが大きな要因です。日本国内の出生数が80万人を割ることが予想される今、“ライフプランの選択肢の幅”を拡げるためには、“初めの一歩” をいつ踏み出すかが鍵 となっています。

出典:CDC ART Report2017 および 日本産科婦人科学会の同年の公表データを比較して作成

【資料全文】こちらからダウンロードいただけます
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/86882

<本件の報道に関するお問い合わせ先>
W society実行委員会(株式会社グッドアンドカンパニー内)
広報担当:小森(070-3239-1470)、田中(070-1639-9624)、井口、佐川、奥山
Email:ws@goodandco.jp

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